小説家鈴木輝一郎のはてな日記

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川越宗一『天地に燦たり』は先物買いでとにかく読んでおこう!

2018年6月24日川越宗一『天地に燦たり』(文藝春秋  2018/7/6)読了、感想。新人の作品です。志の高い、伸びしろをたっぷり感じさせる作品。ぱっとひろげただけで違いがわかるし何より花がある。これは先物買いで目を通しておくとあとで自慢できるよ。第25回松本清張賞受賞作。秀吉の朝鮮出兵のうんたらかんたら、って話です。
名古屋書店員懇親会にゲラを持ってきた人がいて、「どれどれ」と借りて目を通してみたら、面白くて一気に読んだ。豊臣秀吉朝鮮出兵は何本か書いたんで、懐かしい気分で目を通したでござる。
いまどきめずらしいぐらい漢字率高い。礼記とか中庸とかがんがん突っ込んでくる。そこらへんの突っ込みかたが、いい意味でまだ咀嚼しきれていないのが魅力でもある。その場で漢籍に詳しい書店員さんに「これ、好きになるとおもうよ」と伝えたでござるよ。
おおむね500枚ぐらいのはずだけど、スケールがおおきい話なんで、この三倍ぐらいの分量にするか、エピソードを絞り込んでまとめてしまいそうだけど、玉砕覚悟で「これでもか」って突っ込んでくる潔さが新鮮。
脇がら空きで頭から突っ込んでくるボクサー、って感じ、わかりますか。
著者はまだ39歳とのこと。歴史小説の書き手としてはかなり若いので、うまく育ってくれるといいなあ。
ともあれ、ええもん読ませてもらいました。予約が始まってます。お近くの書店で予約を。お近くに書店がない場合にはamazonで。
天地に燦たり

天地に燦たり