小説家鈴木輝一郎のはてな日記

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小説家をめざすならまずこの一冊 舞阪 洸『雨音天袮のラノベ作家養成講座   おまえをラノベ作家にしてやろうか!』講談社 (2016/11/2)

2017年1月16日読了。これは超超超超収穫でござんした。面白かったっす。小説のフリをしたハウツー本。「まんがで学ぶ○○」と同様のコンセプトです。
鈴木輝一郎小説講座の受講生から教えてもらった本。
いやぁ、「鈴木輝一郎小説講座のYouTube動画をパクっとるんじゃないか?」と言いたくなるほどうちの講座と内容が重複してますが、それだけ基本の大切さを押さえている、ってことです。「日本語をきちんと」とか「たくさん本を読みなさい」とかね。
実際に教えている身から断言すると、とても重要なことが包み隠さず書いてあるのに、amazonにレビューを書いている小説家志望者とおぼしきレビューアの評価が低いのがなかなか興味を引きますな。
「聞きたい答えがかえってこないと、正しいことでも耳にはいらない」
ってのは、小説のハウツー本でも同じっす。おすすめ。

「意外なことに面白い」徒埜けんしん『月とうさぎのフォークロア。』(GA文庫)

以前、ふだんあまり本を読まない知人がぼくの本を読んで、「意外なことに面白かった」と妙な褒め方をした。
「『意外と面白い』じゃないよ、『意外なことに面白い』だよ」だそうだ。

本書は鈴木輝一郎小説講座の受講生のデビュー作。
2017年1月にゲストで音声インタビューすることになったんで読んでみた。
パッケージががっつり俺妹系のエロラノベ風で、だいたいこういうのは50代の読者を想定していないから、ぼくが読んでも面白いはずがない──とおもって目を通しはじめたんですが、意外なことにものすげえ面白い。
お約束で巨乳の従妹が高校生の主人公がシャワー浴びてる最中に全裸で後ろからきたり、主人公は実は無限大に強くてしかも強大な組織がバックについてて、というラノベのお約束の妄想が炸裂してるんですけどね。
ただこの「強大な組織」っていうのが、八百万の神々で、この神様どおしの戦いが、ざっくりそのまま「仁義なき戦い」のマル暴の世界で。
とにかく、ありとあらゆる「面白い要素」を詰め込めるだけ詰め込んだ本です。

いやー、よくこんなクダラナイ(褒め言葉です)ことを思いついたもんだ。とにかく、著者が楽しんで書いている(実はけっこうたいへんだったとは聞いてますがあえてそう言う)のが伝わってきます。
ふだんラノベとは縁のないかたも、ぜひ手にとってくださいな。

書店ではライトノベルの棚にあるはずです。2016年12月13日発売。
ほとんどの書店に置いてあるはずです。ラノベは棚の回転が早いそうなので、速攻で書店でお買い求めくださいな。
書店に注文する場合のISBNコードは下記。
ISBN. 978-4-7973-8928-9

お近くに書店がない場合、あと、下着巨乳美少女のカバーのついた文庫をレジに持っていく勇気のない方は下記からKindleでどうぞ。
月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。 (GA文庫)

月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。 (GA文庫)

 

鈴木輝一郎小説講座2016年度4人目のデビュー作の刊行日が確定しました

鈴木輝一郎小説講座の受講生、松村亜紀さんの新人賞特別賞受賞作『ケダモノと王女の不本意なキス』、2017年3月15日、ビーズログ文庫から刊行と確定しました。
 
原稿の段階で目を通していますが、どまんなかストレートの女性向けファンタジーで、射程外のはずのぼくが読んでも面白かった。
松村さんで鈴木輝一郎小説講座の2016年度は1年間で4人デビューした。なんか凄いな(^_^;) 予約がはじまったら、あらためて告知します。
 
版元の公式発表はこちらから。

鎌倉幕府最強のプレゼンテーター北条政子

東急ホテルのPR誌『Comforts』の連載、「鈴木輝一郎の歴史"空想"対談」URLからのたどりかたがわからなかったんですが、アクセス方法がわかったんでこちらでも告知。

タイトルどおり、鎌倉幕府承久の乱のために鎌倉武士たちを鼓舞させた、北条政子のプレゼンテーション術の話。
孫に息子を殺されたり、やたらめったら女にもてる源頼朝に手を焼いたり、まあ、苦労の耐えない人です。
下記からどうぞ。

58号・2016年10月・11月号

http://tokyuhotels.meclib.jp/ComfortsDigital_Vol58/book/index.html#target/page_no=28

赤穂浪士討ち入りの決算報告書はちょっとだけ持ち出しという真実

東急ホテルのPR誌「Comforts」2016年12月号掲載の「歴史空想対談 堀部安兵衛」から。

赤穂浪士の討ち入りの原資って、どこから出ていたか知ってましたか? 赤穂事件の収支報告書が遺されていて、何にいくらかかったか、記録が残ってる。

ものすげえ意外なことに、赤穂浪士の討ち入りの経費内訳で、もっとも大きかったのが「交通費」で、その次が「滞在費」。武器類の購入費は1%に満たず、ほいでもって赤穂浪士の討ち入り経費は本当にちょこっとだけマイナスで、そこから決断内容がみえる、とかそんな話。

下記からPDFで見られるので、どうぞ。

http://tokyuhotels.meclib.jp/ComfortsDigital_Vol59/book/index.html#target/page_no=28

 

なにごとも突き抜けることが大切で音痴芸がすごいフローレンス・フォスター・ジェンキンス

落語の『寝床』のオペラ版で実在し、二度も映画化されたフローレンス・フォスター・ジェンキンスの歌声がYouTubeに残っていた。
名古屋にお住まいのかたなら「東海ラジオの天野良春アナの歌声の女性版」というのがもっとも近い。
いろんな意味で感動的なので、ぜひ聴いてみてくださいな。
音痴もここまでくると芸術でござる。

www.youtube.com

壇蜜は「グラビアのできる西原理恵子」だった

壇蜜×西原理恵子銭ゲバ問答「幸せはカネで買えるか」文藝春秋 (2015/11/27)読了、感想。対談です。
これは超超超超収穫。Kindle版限定の対談です。Kindle読み放題の対象なんですが、購入しても99円なので買うほうをおすすめします。
壇蜜はエッセイがとても才能を感じさせて素敵なんですが、はしばしに「壇蜜という仕事をしている」感じがあって──というか、「壇蜜のプロ」というか、このニュアンス、わかりますか。
この感じ、誰かに似ているなあ、と思っていて、この対談を読んでものすげえ納得しました。
「女同士で友情が成立するか?」との質問に「男の好みがカブらなければ大丈夫」って答えで一致したり、「男で大切なのは定職」ってのは至言ですな。
それにしても壇蜜に、
「路チューしないでどうやって男とつきあうんですか」
っていうのを読むと、納得するよね。
やはり、男女の仲に路チューは重要。