小説家鈴木輝一郎のはてな日記

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2018年7月4日午前6時15分フィリピンのスラム街を見てみたいからクラウドファンディング、だって

2018年7月4日午前6時15分フィリピンのスラム街を見てみたいからクラウドファンディング、だって
コメント欄が批判一色ですな。

内山安雄さんがアジア奨学金制度を始めたもともとのきっかけは、フィリピンのスラム街に逗留していたときに隣のオヤジが「うちの娘を買って日本につれてゆかないか?」ともちかけられたのが始まりだそうだ。「うちの娘、勉強ができる。このままここにいると体売るだけで終わっちまうが、お前が日本に連れてゆけば教育を受けさせてくれるだろう(そこで「預ける」じゃなくて「買え」ってところがスラム街たるゆえんだが)」って言われ、衝撃を受けたんだそうだ。

いま、日本の覚醒剤事犯は年間1万4千人。フィリピンの覚醒剤事犯は数百万人。岐阜ダルクをみていると、1人の薬物依存症者が回復して社会復帰するのは膨大な時間と手間がかかる。
貧困→麻薬・覚醒剤で稼ぐ(麻薬・覚醒剤は確実にリピーターが見込める貧困ビジネスだ)→治安が悪化する→事業継続が難しくなる→職がなくなる→貧困
ってループに陥っているところへ、ドゥトルテが「ドラッグ関係者はぶっ殺す、法律はあとまわしだ」と循環を断ち切ろうとして、圧倒的な支持を得てる。まあ、内戦状態なわけだ。

まあ、彼らを支援する気はないけれど(要するに、うかつに彼らを支援すると、彼らを死なせてしまう可能性があるんだ)、どのみち誰かが現地に行って現状を知らせなきゃならんことには違いない。国政選挙があると議員たちが自動小銃武装するようなお国柄だし。ぼくも内山さんが現地レポートを送ってくれるから奨学支援ができるわけだし。

愛の対義語は「無関心」だそうだ。だからまあ、動機はどうあれ、彼らがフィリピンのスラム街に関心を持つのは悪くない、とは思う。ただ、現地に詳しい人にガイドしてもらわないと命にかかわるので、クラウドファンディングで募集するのは金ではなく人だよ、とは思うね。

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