小説家鈴木輝一郎のはてな日記

公式サイト(http://www.kiichiros.com)のブログ版です

『小説の書き方・超入門』っていう観客参加型講演をやったでござる

2017年3月12日でのこと。
関市・わかくさプラザで『小説の書き方・超入門』って講演。この記事は講義記録動画DVD(非公開です)を観ながら書いています、ねんのため。
主催はNPOぶうめらん、という団体。

http://honnoisseki.com/?p=2652


今回はネット配信なし、受講生も「プロをめざすかどうかわからない」という層。「趣味のサークル」は受講生の満足のポジションをどこに置くのか見当がつかないんだが、今回は自分の勉強で。

プロを目指すとなると、地味に日本語の文法や登場人物の履歴書づくり、背景のつくりこみの方法、刑法・刑事訴訟法民法の概説、といった地味で退屈なことからやってゆくんだけど、「趣味で小説を書く」のであれば、そうした本当に重要なことは必要はないかな。

いわゆる「着想の方法」「オリジナリティの出し方」「ストーリーのつくりかた」ってのは、ケーキづくりでいえばクリームやフルーツでのデコレーションに属すること。見た目はたのしいけれど、それだけでは長編はささえきれないし、アイデアだけでは小説は書けない。

でも、TwitterでRTされるツイートはこの種の作品構成やストーリーのつくりかたばかりみんな関心がある。楽しいからね。

本気でプロになるならともかく、「とりあえずこんなふう」という具合に作家気分を楽しもう、って人にあまり厳しい話をするのも野暮なんで、今回はカードとペンを用意してKJ法でワークショップ式に「着想からストーリーづくりまで」でやることに。

ふだん、講演は高橋メソッドパワポをがんがん使い倒すんだけど、今回は現場合わせ。準備はラクなんだけど、けっこう度胸が要る。

30分ほど自己紹介とガイダンスをしたあと、ワークショップスタート。
受講生たちが書き込んだカードをホワイトボードに置いたものの、意表を突いたストーリーが出るタイプのネタがなく、「ストーリーではなく登場人物からストーリーを組んでゆく」と方向転換するまでしばし立往生してましたが、方向さえ決まればあとはOK。
ひとつずつセオリーにしたがって人物を組み、人物の物語の目的をつくり、そのためのハードルをつくり、と、受講生とやりとりしながらつくってゆく作業。ここらへんはネット受講でブロードバンドな講義がほとんどなんで、こちらとしても勉強になって面白かったっす。

反省点は、現場で受講生とやりとりをしながら講義をすすめてゆくので、予想していない方向に進んだときに講義の方針を決めるのに手間取るところ。今回は幸い2時間の講義だったので、わりと余裕をもってリカバリができたけど、1時間半だったらきつかったかも。
あと、現地のチェックも重要。図書館が併設されている会場だったんで、シメで鉄板の図書館講演ネタで湧かせておしまい、って手もあったんだけど、準備してなかった。
受講生の数が30人と比較的少人数だった(岐阜県関市の書店の店頭にはぼくの本が置いてないはずなんで、当初5−6人ぐらいだと予想してカリキュラムを組んだ。それからするとかなり大規模ではあったわけだが)のでなんとかなったけど、50人を超えたらこうした受講生参加型の講義は難しい。なにか考えなきゃいけない。

とはいえ、DVDをチェックするかぎりでは後半は何度も笑いもおきたし、飽きずに観ることもできた。パワポのスライドをほとんど使わなくても寝る人はいなかったし、けっこう積極的に質問もあった。
おおむね良好に進行したかな? この講義は「小説家を目指す」のではなく「楽しいひとときを過ごす」ってことで、

以上、講演『小説の書き方・超入門』やってみましたワークショップ編の自己チェックでした。