小説家鈴木輝一郎のはてな日記

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柴田よしき『青光の街』は小説家志望者必読のミステリだ

柴田よしき『青光の街(ブルーライト・タウン)』早川書房 (2016/10/21)読了、感想。これは超超超超超収穫。ミステリです。

作家で探偵社の所長が主人公のサスペンスなんですが、とにかく小説技術がすごい。多視点でスピーディに場面も転換してゆくんだけど、読んでいて混乱しないしものすげえ読みやすい。

小説講座で視点や場の転換の話をすることがけっこうあるけれど、小説家志望者が複数の視点で書く場合、視点者の描き分けができていなかったり、そもそも誰の視点で書いているのかがわからないことがおおい。

小説家志望者は本書を紙の本で買って、赤鉛筆片手に、視点がかわる場所をひとつずつチェックして、どう書いてあるか、学びなおすといい。──そういう読まれかたは著者としては不本意かもしれないけれど。

とにかく、これからミステリを書こうという人には教科書のように必読の書、といってしまおう。


青光の街(ブルーライト・タウン) (ハヤカワ・ミステリワールド)

青光の街(ブルーライト・タウン) (ハヤカワ・ミステリワールド)