柴田よしき『理由』は数年に1度の傑作短編ミステリだ
これはミステリ短編超超超超超収穫。短編ミステリとしては「数年に一度」傑作。自分の読書リストは自前のサイトでチェックでき、確かめたうえで言っているので誇張じゃござんせん。本当にそういう水準。
ストーリーはシンプルで、人気芸人を刺した女性の動機についての謎。
とにかくリアリティに徹していて、警察のできること・できないこと・できる範囲でわかること・そのなかで推理できること、ということの取材が綿密なこと、そして登場人物たちが、「犯罪という非日常に巻き込まれた普通の人々(これは実は書くのがものすげえ難しい)」で、動機もわかるし、動機が解明されてゆくプロセスが次々と畳み込まれていきます。
短編ミステリを書く定石としては、できる限りシンプルに、テーマから外れるものは外してゆき、リアリティには目を閉じることも少なくない。短編ミステリの場合、刑法犯をからめると読者の共感を得るのが難しいく、「日常の謎」で勝負したほうがおさまりがよくなる。
こうした定石は定石だけの理由があって、定石を押さえると確実に一定水準の面白さが出る。
定石を外すと傑作が生まれることがしばしばあるんだけど、勇気がいるんだよね。
この短編は、そういった短編ミステリの定石を外し、徹底的にがっつり詰め込んである。短編ミステリって制約が多いんだけど、ここまでのことができるんだ、とあらためて学んだんでありました。
他の収録作も面白いんですが、本作が突出してよかったんで、とり急ぎレビューを。
『小説新人賞の受賞はホントに簡単!』って内容でオンライン座談会をすることになりました。
『小説新人賞の受賞はホントに簡単!』って内容でオンライン座談会をすることになりました。
日時 3月16日(木)22時~3月21日(火)23時
パネリスト
鈴木輝一郎(小説家)
架神 恭介 (作家、漫画原作者)
泉 和良 (作家、ゲーム制作者、ミュージシャン)
至道 流星 (作家、エンジニア、経営者)
お知らせは下記。
http://talkmaker.com/info/100.html
座談会詳細は下記。
オンライン座談会ということで、期間内はいつでも閲覧できるとのこと。
ぜひどうぞ。
鈴木輝一郎 by desktop
アンソロジー『隠す』(文藝春秋)トークショー大阪を聴きにいく
岐阜に住んでいるとこうしたトークショーを見学する機会は皆無に近いので、情報が入ったらできるかぎり聴くようにしてる。要するに勉強です。
今回は西日本在住の作家の回。福田和代・近藤史恵・光原百合・松村比呂美・柴田よしき(着席順)
場所は蔦屋書店内の喫茶コーナーで、客席は20席ぐらい。女性は7割ぐらい。
それぞれの執筆スタンスやスタイルなどの話が面白く、あと、夜型が多いのが意外だったかな? ぼくの周囲は朝型が多いので。
トークショーの内容はそれぞれの著作権にかかわることなんで詳細はパス。「ほお」とか「へえ」とか、学ぶことのおおいトークショーだったのは確か。大阪に足を運んだ価値はじゅうぶん。
大阪創作サポートセンターのSさんと同席したんで、大阪サポートセンターのゲスト講師の日程決め。大阪はとにかくホテルが押さえられないので、スケジュールだけ先に押さえて宿をとるため。あと、同業者知人がゲラかかえて聴きにきていたので雑談。
帰りの電車のなかでアンソロジー『隠す』をぱらぱらと読み始めたら、夢中になってやめられなかった。このレビューはまたいずれ。
袴を25年ぶりに新調と八光流合気武道
- 作者: Okuyama Ryuho Hakkoryu 2nd Soke,Monthly HIDEN editorial department,Kurabe Makoto Shiseido,Andrew Bryant
- 出版社/メーカー: BAB JAPAN
- 発売日: 2017/01/31
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
こういうは天才作家は割と実在する 柳本光晴『響~小説家になる方法~ 1-5』
これは超超超超超収穫。「小説家になる方法」と書いてあるけれど、コミックスです。おもわず定価で買って夢中で読んじゃいましたがな。
誤解のないように書いておくと、小説家になるハウツーではなく、「天才少女作家とその周辺」って話です。
よく取材してあります。「普通の小説家」の日常やら、いろいろ振り回される「大人の作家」なども丁寧に描いてあります。
主人公の典型的なアレっぷり、とても見覚えがあります。特定の誰かではなく、小説家を25年もやっているとこういうタイプをたくさん見かけるので。
ほとんどの場合、才気は感じさせても作品に反映されなかったり、ネットの罠にはまって消えたり、みずから死を選んだりして消えてしまうんですけどね。
どこの書店でも入手できます。ぼくは移動中に読んだのでKindleでまとめ書いしました。
鈴木輝一郎小説講座2017年2月講義のまとめ「登場人物の描き分けができないのを自覚する方法」とか
2017年2月25日(土)の日記
鈴木輝一郎小説講座の講義収録日。
今月はゲスト講師はなく、ぼくの講義。「長編が行き詰まったら」という講義と、受講生からの「いまさら聞けない質問」の回答。
「原稿の送り方」「原稿の綴じ方」「カギカッコの使い方」「推敲のしかた」のチェック。
あとは作品講評。
それなりに長編が埋められるようになった人へは作品の構成のチェック。あと、登場人物の履歴書をチェックして、人物の軽重を把握する重要性を伝達。
登場人物の描き分けができない受講生は、「描き分けができていないことがわからない」ことが多いので、「登場人物の描き分けができないのを自覚する方法」を伝達。
あと、「ライバルを間違えるな」という話。
前年の受賞者や文芸サークル(鈴木輝一郎小説講座はネット受講生が9割以上で、受講生どうしの交流はほとんどゼロ)と自分の作品をくらべているケースがあったので。
新人賞の受賞作は、どれほどすごくみえても、しょせんはシロウトのなかの一番。これからデビューしようという受講生は、「あの人を超えたい」というのは、知人たちではなく、宮部みゆきさんや東野圭吾さんだということを忘れないことが大切。
夜の岐阜ダルク・NA大垣ミーティングは欠席。さすがにきついので。
ただ、いつもより2時間ほど早く、夜中の11時55分には編集作業を終えることができ、ひさびさに12時前に就寝できた。
2月26日(日)朝には受講生に配信ができる。
鈴木輝一郎小説講座は全国屈指のプロデビュー率。受講受付随時。ネット対応で世界中どこからでも受講できます。海外在住で申し込む場合は電話 0120-670-877 受付時間 10:00~18:30 担当 川島
鈴木輝一郎小説講座 2015年度の受講生実績はこちら>
https://www.facebook.com/kiichirosjp
3月1日の八重洲ブックセンター・篠田節子トークショーの準備でござる
3月1日の八重洲ブックセンター・篠田節子トークショーの準備でござる
「もちものリスト」をつくってチェック。
当日の進行表をざっと作って送信。
パワポ用のネットブックの動作チェック。充電して、当日のスライドをパッケージ保存してSDカードにつっこみ、ネットブックに突っ込んで動作確認。当日、執筆用のPCは手持ちで荷物が多くなるので、これは箱に詰めて別便。
本番当日は、反省用に動画を収録する(公開はしません。講演の仕事のときは動画を撮って姿勢や滑舌などをチェックして次に活かすためのもの)。で、録画用の三脚もエアキャップでかためて別便。
あと、進行台本組み。
トークショーの中身は実質1時間しかないので、時間配分のチェックが中心。内容を絞り込むのが重要ではある。鈴木輝一郎小説講座公開講座やぼくの図書館講演と違い、客層が読めないので、あまりきつきつにすると身動きがとれなくなるから緩めに。
1時間のトークショーの準備は1時間では終わらない。今回はぼくは脇役なんで、かなり仕事量はすくないけど。
内容は、旅行記にするか、インドの貧困問題にするか、「取材と小説」って話にするか、客層次第。ここらへんは現場あわせで。
席数が80席と限られているので、予約を忘れずに。
電話番号:03-3281-8201 八重洲ブックセンター